星屑少女の読書室

本と漫画と映画の感想

読書感想『エミリときどきマーメイド1』リズ・ケスラー

エミリときどきマーメイド

『エミリときどきマーメイド』(原作『The Tail of Emily Windsnap』
リズ・ケスラー著
田中亜希子訳
カタノトモコ絵
2021年3月発行
 
人魚に惹かれて即買いした本。
海に行かなくても、本からマーメイドのエッセンスを感じられるのはうれしい。
 
原作は現在9作まで出ているイギリスの大人気シリーズ。
日本では2004年にポプラ社から『エミリーのしっぽ』(矢羽野薫訳)として出版されたのが最初だったみたい。2004年出版のタイトルは直訳で、表紙も少し大人な感じでシンプル。今作はタイトルも装丁も翻訳も一新されていたと知ったときは、そんな前に出版されていたんだ!とびっくりしました。内容も今風で楽しかった!
 
初めてエミリが人魚になって海の中を泳ぐ場面は、海の中が輝いているようで気持ちよさそうだったな〜。ショナは可愛いし、エミリとショナが親友になってくれてうれしい。
 
話が進んでいくと、エミリは人魚を束ねる海の王ネプチューンと対峙することになるのだけど、人間に裏切られたことのあるネプチューンは人間が大嫌いで話を聞こうとしない。でも、両親や親友を思いやる種族を超えたエミリの愛を聞き、ネプチューン自身の傷ついた心がほぐれ、ハッピーエンドを迎える。
愛情のこもった思いやりの心に触れると、傷ついた人の心も癒されるんだよね、と読んでいる私自身の心もあったかくなって、気持ちの良い読書体験でした。
私もエミリのように愛情を真ん中において、周りの人たちと日々を楽しく創造していきたいなと改めて思ったり。
 
作中にはムーンレディという、瞑想やタロットに精通するスピリチュアルな女性が出てくるのだけど、作中に出てくるカードや読み解き方が、著者さんタロットをわかってる人だ〜とニヤリ。カードって自分の心を深掘りしたり、迷いを明確にしてくれるツール。それが物語にサラリと組み込まれていてうれしかった。
 
新装版のおかげでこの本を手に取れたので、出版に関わった皆様ありがとうございました。
世界中で人気になるのもわかるし、日本版は可愛いイラストがたくさん散りばめられていたのもあり楽しかったです。